私たちの宇宙がどのようにして生まれ、現在の姿に辿りついたのかは、人類の持つ根源的な問いです。 宇宙の歴史は、その開闢以来さまざまな出来事が起こりましたが、それらのダイナミカルな帰結として、現在の宇宙を説明する必要があります。 多くの先端研究がなされてきましたが、まだ解明すべき謎(宇宙史の暗黒部分)が数多く存在し、さらに、それらを統一的に解明する描像の構築が求められています。
「筑波大学 宇宙史研究センター (Tomonaga Center for the History of the Universe: 朝永センター)」は、宇宙史研究の国際共同研究拠点形成をめざして、2017年10月に設立された研究センターです。 宇宙の創世と物質・生命の起源を数理的手法で研究し、宇宙史の統一的理解と新たな学問分野の創出・牽引を目的としています。
この目的を達成するために、センターは
♠
センターの概要は、[センター概要] を御覧下さい。
♦
センターの研究については、[研究プロジェクト] を御覧下さい。
♥
センターの組織と構成員については、[組織・メンバー] を御覧下さい。
♣
センター紹介資料等は、[各種情報 (Materials)] を御覧ください。
Tomonaga Center(朝永センター)の名称は、筑波大学物理学教室の基礎を築き、超多時間理論や、くりこみ理論、集団運動の理論など、現代物理学の構築に多大な功績を残された、ノーベル賞物理学者 朝永振一郎博士にちなんでいます。
朝永先生の事績については、筑波大学 朝永記念室や 筑波大学ギャラリー 朝永振一郎博士記念展示を御覧下さい。
朝永先生の盟友であり日本初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士の京都大学 基礎物理学研究所(Yukawa Institute for Theoretical Physics)の例に倣い、センターの英語名に先生の名前を使わせていただくことになりました。
(写真:筑波大学朝永記念室蔵)
世話人:武内勇司
世話人:江角晋一
本年度の光量子検出器ワークショップ(TCHoU光量子計測部門)を開催します。Zoom接続はしますが、対面を基本とします。
シンポジウムは参加者32名(リモート参加10名をふくむ)を集め、原子核実験、宇宙観測、素粒子実験グループから合計9件の研究発表がされ、予定時間をほぼ一時間越える活発な議論となった。参加者に海外からの研究者がいるため、発表・質疑は英語で行い、一部の学生は説明に詰まる場面もあったが、良い経験・意見交換会となった。
世話人:原 和彦
2022年度のTCHoU素粒子部門ワークショップを開催します。本ワークショップは公開ですので,学生などTCHoU構成員以外の方へもご連絡ください。
世話人:武内勇司
クォーク・核物質研究部門の2022年度ワークショップを兼ねて、標記国際ワークショップを開催します。国内外の研究者を招待し、分野を横断する以下のトピックスについて議論します。
世話人:中條達也 (LOC)
世話人:受川史彦
素粒子構造研究部門の飯田崇史助教は、微弱な放射線の検出法の開発によって素粒子科学の発展に大きく貢献したことが評価され、2023年 日本アイソトープ協会奨励賞を受賞しました。
研究業績名:「48Caの極稀崩壊研究のための検出システムの高度化」
この賞は、放射性同位体及び放射線に係わる基礎並びに応用研究において、独創的かつ顕著な成果を挙げ、将来の利用拡大・発展への寄与・社会貢献等が期待される若手・中堅の研究者個人を顕彰するものです。授賞式と受賞講演は、第60回アイソトープ・放射線研究発表会会期中(7月5日~7月7日)に行われる予定です。
素粒子構造研究部門の飯田崇史助教は、代表で進めている波長情報を用いて粒子識別を行う新しいシンチレーション検出器の研究が評価され、令和4年度のコニカミノルタ画像科学奨励賞を受賞しました。
研究業績名:「放射線粒子の色を見る!革新的シンチレーション検出器の開発」
この賞は「光と画像」に関わる研究で、社会課題の解決に寄与する斬新な発想による挑戦的な研究に対し授与されるものです。
世話人:飯田崇史
素粒子構造研究部門の飯田崇史助教が代表を務めるシンチレータの発光波長の情報を用いた新しい粒子識別法の研究の成果について、プレスリリースを行いました。
シンチレータとは、電子などの荷電粒子がその内部を通ったときに光を放出する物質のことで、放出された光をシンチレーション光と呼びます。古くから放射線検出器として利用されており、最近では、中性子検出器として6Liを含むシンチレータが注目されています。6Liは熱中性子を吸収してアルファ線とトリチウムを放出しますが、これをノイズとなるガンマ線から分離できれば、中性子検出器として有望です。本研究グループは、Eu:LiCaIという結晶を用いた中性子検出器について、中性子とガンマ線などの粒子をより高精度に識別できる、シンチレータの発光波長の情報を用いた新しい粒子識別法を提案し、研究しています。
本研究では、Eu:LiCaIシンチレータを用いて、放射線の種類を変えた際にシンチレーション光の波長の違いをを調べました。その結果、中性子を照射したときとガンマ線と照射したときで、「フィルタ越しの光センサーの出力」と「フィルタ無しの光センサーの出力」との比が異なることを確認しました。これは中性子を照射したときは短い波長の光の割合が多いことを意味します。すなわち、波長情報による粒子識別技術の実証に初めて成功しました。この技術は、次世代の中性子検出器、さらにはさまざまな種類の放射線検出への応用が期待できます。今後、波長に違いが生じる理由について仮説の検証や、本技術を用いた放射線検出器の実用化を進めていくことを目指しており、これを応用した放射線の撮像技術を確立できれば、広く社会のイノベーション創出の基盤となることが期待されます。
詳細は、プレスリリース配布資料をご覧ください。
構成員会議・成果報告&交流会は、センターの活動状況と将来に向けての方針を構成員(構成教員+連携教員+構成研究員)で審議する場であるとともに、各分野の研究トピックスと最新成果を相互に共有し、融合研究の可能性を自由に議論・意見交換する場を目指しています。センター構成員は時間が許す限り参加をお願いします。なお、センター長による全体報告+審議以降の成果報告&交流会はセンター構成員以外にも公開です。
09:30-10:15 | 久野 成夫 | 全体報告 | ||
---|---|---|---|---|
ここから公開(構成員以外の方は、これ以降にご参加ください。) | ||||
10:30-11:00 | 中村浩二 | (KEK) | AC-LGAD 検出器の開発 | |
11:00-11:30 | 朝比奈雄太 | ブラックホール降着流の一般相対論的輻射磁気流体シミュレーション | ||
11:30-12:00 | 久野成夫 | 南極 30cm サブミリ波望遠鏡による銀河系内暗黒ガスの観測 | ||
12:00-13:30 | lunch | |||
13:30-14:00 | 松浦周二 | (関西学 院大学) |
ロケット実験 CIBER-2 による宇宙赤外線背景放射の観測 | |
14:00-14:30 | 森口哲朗 | 非対称核物質の理解に向けた不安定核の反応断面積測定 | ||
14:30-15:00 | 大野浩史 | 有限温度 QCD の相構造 | ||
15:00-15:15 | break | |||
15:15-15:35 | 西堀英治 | 放射光、X 線自由電子レーザーを使った物質科学研究における検出器利用の最適化 | ||
15:35-15:55 | 原 和彦 | Vertex2022 を終えて | ||
15:55-16:25 | 中條達也 | ALICE FoCal プロジェクト(現状と将来) | ||
16:25-16:40 | break | |||
16:40-17:10 | 村山洋佑 | (国立 天文台) |
Development of the 109-pixel NbTiN-Al hybrid MKID array for 100-GHz band astronomical observations | |
17:10-17:40 | 石橋延幸 | The Fokker-Planck formalism for closed strings | ||
17:40-18:10 | 佐藤構二 | ATLAS 実験の最近の物理結果 | ||
18:10-18:25 | 受川史彦 | 終わりに |
世話人:原 和彦
世話人:受川史彦
素粒子実験における衝突点検出器の開発に関する国際ワークショップVertex2022が、TCHoUの共催により、千葉県館山市の館山リゾートホテルで開催されました。今回で31回目の開催に歴史のある会議です。
宇宙史研究センター光量子計測器開発部門の原准教授は同会議のInternational Advisory Committeeメンバーで、今回ワークショップのLOC委員長を務めています。
会議の詳細はワークショップのホームページを御覧ください。
会議の写真と実施報告は、ここ を御覧下さい。また、専門家向けの報告は、HEPNews用記事 を御覧下さい。
世話人: 原 和彦
素粒子実験室M2の北 彩友海さんが、2022年秋季大会において日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。発表題目「新型LGAD検出器(ACーLGAD)の電極細密化に関する研究」によるもので、昨年度に引き続いての受賞となりました。(2022年秋季大会受賞者一覧)
加速器実験では粒子の発生場所や軌跡を精密に測定することで、どのような反応が起きたかを知ることができます。素粒子のより精密な測定や新粒子の発見のためには、今後、反応頻度を上げることが要求されますが、それに伴い発生粒子数密度も飛躍的に大きくなり、そのような環境下でも粒子の軌跡を精密に計測できる検出器の開発が懸案になっています。従来は検出器の電極サイズを細かくして位置分解能を向上させることで対応してきましたが、北さんが属する素粒子実験グループ(研究代表は光量子計測部門の原部門長と連携教員のKEK中村氏)は時間分解能に優れた内部増幅機能をもつ新型検出器LGADを適用することで、時間+位置情報を併せ持つ4次元検出器を開発しています。LGADに高位置分解能機能を持たせるためには電極の細密化が必要ですが、AC結合電極を採用することで4次元検出器の実現に近づき、今回はその開発状況を発表したものです。
Tsukuba Global Science Week (TGSW) の宇宙史セッション「宇宙の進化と物質の起源」を、今年度もオンラインで開催しました。(セッション番号 5-9)
Early Afternoon Session (Chair: Fumihiko Ukegawa) | ||||
12:50-13:00 | Nario Kuno | Univ. Tsukuba | Opening | |
---|---|---|---|---|
13:00-13:30 | Tai Oshima | NAOJ | Probing the distant universe with the wide field of view sub-millimeter camera | |
13:30-14:10 | Yuji Takeuchi | Univ. Tsukuba | R&D of Hf-STJ as FIR single-photon spectrometer for COBAND | |
14:10-14:40 | Kazuyuki Kanaya | Osaka Univ. | Critical point in heavy-quark QCD at finite temperature | |
Late Afternoon Session (Chair: ShinIchi Esumi) | ||||
15:20-15:50 | Yuma Sugahara | Waseda Univ. / NAOJ | Emission line modeling of galaxies at Cosmic Dawn | |
15:50-16:30 | Yong-Hamb Kim | Center for Underground Phys., Inst. Basic Sci. |
0νββ Searches with Low-Temperature Thermal Calorimeters | |
16:30-17:00 | Sheng-Cai Shi | Purple Mountain Observatory, Chinese Academy of Sci. |
Development of THz Astronomy in China | |
17:00-17:40 | Joachim Stroth | Frankfurt Univ. / GSI | Exploring the phase structure of QCD matter at high baryo-chemical potential with HADES and CBM | |
Evening Session (Chair: Kazuhiko Hara) | ||||
18:10-18:50 | Tatsuya Masubuchi | Univ. Tokyo | 10th Anniversary of the Higgs Boson Discovery ―What we learned in a decade― | |
18:50-19:20 | Kate Pattle | University College London | The Cold Universe: Science Highlights from the SCUBA-2 Camera | |
19:20-20:00 | Giuseppe Iacobucci | Univ. Geneve, | Next generation silicon pixel detectors: towards picosecond timing | |
20:00-20:40 | Jiangyong Jia | Stony Brook Univ. / BNL | Imaging the nuclear structure and the initial condition of heavy ion collisions across nuclear chart | |
20:40-20:50 | Fumihiko Ukegawa | Univ. Tsukuba | Closing |
プレゼンスライドはTitleをクリックして下さい。
世話人:武内勇司
LBNL からNu Xu氏が来日され、筑波大で宇宙史研究セミナーを行ってもらう事になりました。
研究室1F201にて対面 + zoomオンライン接続のハイブリッド会議で行う予定ですが、対面参加人数により、別の部屋に移動する可能性がありますので、対面での参加予定の方は、江角まで1週間前位までにご連絡下さい。
世話人:江角晋一 (esumi.shinichi.gn [at] u.tsukuba.ac.jp)
七夕の日にあわせて、天文・宇宙の専門家による「第13回 天文宇宙の七夕講演会」を行います。最先端の研究内容を、一般の方にもわかりやすく解説していただきます。
13:30- | 野村 真理子 | (呉工業高等専門学校助教) | 「数値シミュレーションで迫る超巨大ブラックホールの謎」 | |
---|---|---|---|---|
15:00- | 高野 秀路 | (日本大学教授) | 「宇宙の物質を電波望遠鏡で見る! ~天文学、物理学、化学にまたがって~」 | |
16:30 | 終了 |
プレゼンスライドはTitleをクリックして下さい。
世話人: 久野成夫 (TEL: 029-853-5080, e-mail: kuno.nario.gt [at] u.tsukuba.ac.jp)
構成員会議・成果報告&交流会は、センターの活動状況と将来に向けての方針を構成員(構成教員+連携教員+構成研究員)で審議する場であるとともに、各分野の研究トピックスと最新成果を相互に共有し、融合研究の可能性を自由に議論・意見交換する場を目指しています。センター構成員は時間が許す限り参加をお願いします。なお、センター長による全体報告+審議以降の成果報告&交流会はセンター構成員以外にも公開です。
09:30-10:15 | 久野成夫 | センターの活動報告 | ||
---|---|---|---|---|
ここから公開(構成員以外の方は、これ以降にご参加ください。) | ||||
10:15-10:45 | 藏増嘉伸 | テンソル繰り込み群による(3+1)次元有限密度Z_2ゲージヒッグスモデルの 研究 | ||
10:45-11:10 | 本多俊介 | CMB偏光観測実験GroundBIRD (1) | ||
11:10-11:40 | 本多俊介 | CMB偏光観測実験GroundBIRD (2) | ||
11:40-12:10 | 足立宏幸 | 行列幾何とその進展 | ||
12:10-13:30 | lunch | |||
13:30-14:00 | 木下哲一 | (清水建設(株) 技術研究所) |
地球上で検出された短寿命r核Fe-60とPu-244 | |
14:00-14:30 | 中村浩二 | (KEK) | Study of electrode granularity for Pixel type AC-LGAD detector | |
14:30-15:00 | 福島 肇 | 星団形成の輻射流体シミュレーション | ||
15:00-15:15 | break | |||
15:15-15:45 | 金 信弘 | COBAND実験のための反射防止膜の開発 | ||
15:45-16:15 | Ashtosh Kumar Pandey | Femtoscopic study in high-energy heavy-ion collisions | ||
16:15-16:45 | 廣瀬茂輝 | ATLAS実験の最近の結果とRun3運転 | ||
16:45-17:00 | 受川史彦 | 終わりに |
世話人:武内勇司 tchou0624@hep.px.tsukuba.ac.jp
高校生を対象に、138億年の宇宙の歴史について解説しました。また、筑波大学宇宙史研究センターで行われている研究についても紹介しました。
5/28(土) | ||||
13:30-14:30 | 梅村雅之 教授 | ビッグバン宇宙論 | ||
14:45-15:45 | 原 和彦 准教授 | 素粒子の質量とヒッグス粒子 | ||
16:00-17:00 | 武内勇司 准教授 | 宇宙背景ニュートリノへの挑戦 | ||
5/29(日) | ||||
13:30-14:30 | 江角普一 教授 | 初期宇宙におけるQGP相転移 | ||
14:45-15:45 | 久野成夫 教授 | 星、銀河の誕生と進化 |
世話人: 久野成夫
2022/04/08のニュースで紹介したCDF実験グループによるWボソンの質量測定について、宇宙史研究センター・素粒子理論実験合同セミナーを開催します。
プレゼンスライドはTitleをクリックして下さい。
世話人:武内勇司 (takeuchi [at] hep.px.tsukuba.ac.jp), 浅野侑磨 (asano [at] het.ph.tsukuba.ac.jp)
素粒子構造研究部門の研究者の参加する国際共同実験グループ CDF Collaboration が,米国Fermi国立研究所における実験で、基本粒子のひとつであるWボソンの質量をこれまでの最高精度で測定しました。Wボソンは,素粒子のうち,力を伝える粒子(ゲージ・ボソン)に分類されるもののひとつで,Zボソンとともに,弱い相互作用を伝えます。Wボソンの質量を精密に決定することにより,他の素粒子の質量の情報と組み合わせて,素粒子の標準理論を検証することが可能です。今回の測定により,標準理論の予言からの有意なずれが観測されました。 [Science vol.376, issue 6589, pp.125, 2022/4/7]
詳細は https://hep-www.px.tsukuba.ac.jp/news/W-mass-2022/ を御覧ください。
標準理論を超えた基本法則の存在を示唆するこの成果は、2022/4/25のNHKニュース や 読売新聞(2022/4/8) などで紹介されました。
クォーク・核物質研究部門の研究者の野中俊宏助教が,2022年「八木浩輔クォークマターアワード(八木アワード)」を受賞しました。野中助教は,クォーク・核物質の相図における臨界点探索において、臨界点に敏感な観測量である「保存量分布のゆらぎ」の測定・補正手法を確立し、RHIC-STAR実験において臨界点の兆候を観測しました。これらの功績が認められ、この分野を代表したプレナリー講演を2022年に4月4-10日にポーランドで開催された国際会議 Quark Matter 2022において行いました。
八木アワードは、故 八木浩輔氏(筑波大学名誉教授)のご遺族から「原子核物理学の若手研究者育成の支援」の目的で理化学研究所 数理創造プログラム (RIKEN iTHEMS) に贈られた寄付金により2019年に創設されました。八木アワードの詳細は https://ithems.riken.jp/ja/about/yagi-award を御覧ください。